全国高校野球選手権栃木大会は国学院栃木が37年ぶり2度目の優勝を飾った。心からお祝いします。その一方で県立高校として挑んだ宇都宮南はもう一歩のところで手が届かなかった。
県立高校としては2005年に同高が優勝して以来、私立高校の優勝が続いている。奈良県においても生駒高校が智弁学園を破り決勝で天理高校に臨んだが新型コロナの影響もあり優勝を手に入れることができなかった。
甲子園は公立高校にとって非常に遠い存在になってきている感がある。ただこれは甲子園、スポーツに限ったことではないようであり大学進学でも同様な傾向を感じている。
出身高校から送付されたOB便りに受験先一覧があった。一瞬進学先数かと見間違えた。それは旧帝大や私立の超難関校といわれる大学ばかりではなかった。決して自慢するものではないが、当時は東大・一橋・東北、早慶明はクラスからかなりの合格者を出していた。そして、大学を卒業して就職したときには同期の約半数が早慶明だった。超難関校といえどもそう遠い存在ではなかった。それが10数年過ぎると早慶明からのエントリー自体が目立つようになった。
当時でも20倍くらいの倍率だったので、量的ではなく質的変化が大きいのではないか。各大学とも個性を活かすことに注力して独自の受験制度を設け、受験生はそれぞれの対応に取り組まざるを得なくなった。そこが甲子園への道と同じような傾向、進学コース、中高一貫等特別な対応、受験テクニックが求められ、それがないと合格しづらくなってきているのではないか、注視していきたい。
挑戦する機会は平等で質的に高度化専門化している点を喜ぶべきか、家庭環境や情報化への対応など取り巻く環境が大きく影響を及ぼし、受験生個人の努力を超えた影響が大きいという現実から格差を助長する点を鑑み、少しがんばれば報われた時代を懐かしむことに忸怩たる思いを感じつつ、現役高校生にエールを送りたい。
シニアパートナー 諏訪 博昭 (経済学博士・中小企業診断士)