資金繰りの崖

「ゼロゼロ融資や社保猶予などコロナ特例終了、資金繰りの崖 8月の企業倒産、最大の54%増」と題した2023年9月9日の日経朝刊の記事。ChatGPTで200字程度にまとめてみました。

「新型コロナウイルスの影響を受けて実施されたゼロゼロ融資や社会保険料の納付猶予などの支援策の終了が背景となり、日本の企業倒産が増加している。2023年8月の倒産は760件で、前年同月比54%増。ゼロゼロ融資は利払い免除期間3年、元本返済最長5年延ばしの制度で、多くの企業が今年7月から返済を開始。社会保険料の納付猶予期間も終わり、多くの企業が未納分の支払いを迫られている。特に飲食店などの業界での負担感が大きいとの指摘がある。社会保険料や税金滞納を原因とする倒産が急増しており、この傾向は続く見込み。」

 

本シリーズ当初で書いた「ゼロゼロ融資の返済問題」が本格化に表面化しだしました。

コロナ禍で中小企業の借入金は約25兆円増加しています。これは中小企業の経常利益の13年分に匹敵しており、返済上限の12年(最長15年‐元金据置3年=12年)を超えています。

最初から無理筋で実行された「ゼロゼロ融資」ですが、コロナ禍で苦しむ多くの事業者を救いました。また、雇用調整助成金や社会保険料の納付猶予は従業員の解雇を防止し、社会の混乱を軽減させました。日本は欧米と違い、企業に対し助成をし、間接的に個人を救うスタイルを取っています。税金すら源泉徴収させて企業経由で吸い上げている国です。従って中小企業には分厚い支援や優遇策が存在します。

ある意味合理的なシステムですが、わが国において企業が負う負担は非常に重いものがあります。結果的に上のグラフのように、その負担に耐えられない企業が「諦め倒産」に追い込まれます。
この倒産数ですが、依然低レベルにあると思います。一般的に銀行の貸倒引当金の引当率は、「貸出の2%」と言われています。つまり、「100社のうち2社は毎年潰れる」という意味です。
なので、資金繰りがタイトになる先はもちろん、倒産件数は今後も増加して行くと思います。

この夏あたりからの返済開始が結構多いので、通帳を見て「なんだこの返済額は!」とびっくりされている企業さんも多く、今更ながら借りた金の多さにびっくりされている方もいるでしょう。私もその一人です(笑)。

ちなみにですが、例えば借入期間を10年として借り入れた方、「更に5年、無条件」で期間延長が可能です。国が定めた融資条件は当初から「運転資金は最長15年」と決まっており、その残りカードを切ることができます。知っている方が少ない運用上の規定らしいのですが、これは今後の融資に影響する「リスケジュール」ではありません。借入金融機関のご担当の方、もしくは弊社のような認定支援機関に「早めに」相談することをお勧めします。

(参考:経済産業省「挑戦する中小企業応援パッケージを策定しました」:令和5年8月30日/ https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230830002/20230830002.html