事業再生と事業承継

Googleを使って、こんな比較をしてみました。

 

「事業再生」と「事業承継」の検索ワード数の推移です。(PC閲覧推奨・スマホだと見れない機種があります)

 

 

「事業再生」(青いライン)は2003年以降の事業再生ブームに乗り勢いを強めましたが、主として金融機関の不良債権処理に伴うもので一度は「事業承継」と並びます。

しかし、リーマンショックが怒るや否や「事業再生」がグッと急上昇します。第2次事業再生ブームです。このころになると金融円滑法に伴う各地域の中小企業活性化協議会(以下、活性協)(旧:中小企業再生支援協議会)スキームが主体となって、主として「リスケジュール」が主流となります。

 

リスケジュールは基本的に「会社を潰さない」措置であり、返済を猶予することがメインです。支援協や金融機関は「リスケ期間中に抜本的に経営改善をして下さい」という指導をするわけです。

 

ただリスケ措置を受けた一部の会社は、「返済が減ったので救われた」という妙な安堵感で、根本的な問題解決を先送りにしました。結果、リスケジュール時に策定する「経営改善計画」の数値目標は乖離が多くなり、立法趣旨からかけ離れた「問題先送り」による弊害が生じました。

 

返済猶予を受けているから生きている企業を「ゾンビ企業」といいますが、これが結構多いのです。

 

「事業再生」に対して、にわかに注目を浴びてきたのが「事業承継」(赤いライン)です。2016年12月で、その検索件数はグッと伸び、事業再生をあっさり超えて行きます。

 

この時何があったのでしょうか。事業承継ガイドラインの発表です。中小企業庁から出されたこのガイドラインは一躍注目を集め、官民挙げての事業承継が活発化してゆきます。

 

(このガイドラインは2022年に大幅改定があり、更に充実した内容となりました。)中小企業庁HP 

 

事業承継はM&Aのカテゴリーです。M&Aというとドラスティックなイメージを持ちますが、事業承継という言葉に置き換えれば、後継者難に悩む高齢化経営者に寄り添う優しい響きがあります。ただ、本来は親子や同じ会社の幹部が引き継ぐことを想定したものの、結局「なり手不足」で「第三者承継」、という「結局M&Aですよね」選択に比重が向き、併せて「PMIガイドライン」や「M&A専門家登録制度」なども導入しました。金融緩和でM&A資金(LBO)も結構融資されるようになり、事業承継市場は活況を呈するようになってきました。

 

不振企業があったら、面倒のかかる事業再生より、M&Aで片を付ける。そんな風潮になってきたと感じることもあります。自社の再建に努力することよりも「会社、売りといくらになりますか?」と、安易にM&Aを考える経営者さんも増えつつあります。

 

事業再生もM&Aも、どちらも「目的」ではなく、問題解決のための「手段」に過ぎません。どちらを選ぶか、の判断基準ですが、今も昔も「経済合理性」です。事業を存続させる経済的価値(存続価値)と、売却による対価価値、「どちらが得か」ということです。

 

この「どちらが得か」の助言を求めるなら、事業再生と事業承継(M&A)、とちらも実績のあるアドバイザーを選ぶとよいでしょう。片方だけだと自分に有利なポジショントークをされてしまい、判断が偏ってしまいます。

 

弊社は、しっかり事業者の想いや、価値判断をしたうえで、「何がお客様のHAPPYに繋がるか」をアドバイスするよう努めています。